異世界転生した天才物理学者は、魔法を「量子もつれ」と定義する ~事象の地平線を越えて、地球に重力波(論文)を送りつけるまで~

異世界転生した天才物理学者は、魔法を「量子もつれ」と定義する ~事象の地平線を越えて、地球に重力波(論文)を送りつけるまで~

第20話 生体認証

「……さて、ここからが本番だ」私は通路の突き当たりに鎮座する、巨大な「第二の扉」を見上げた。先ほどの石造りの扉とは違う。継ぎ目のない黒い金属板──おそらくチタン合金か、それに類する未知の素材で作られている。表面には魔法陣すら刻まれていない。...
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第19話 禁書庫への侵入

パンツ一丁のリックを先頭に、私たちは地下倉庫の奥へと進んだ。青白い火花は、鉄扉の隙間から断続的に漏れ出している。私たちは金属類を全てその場に捨て、文字通り「身一つ」でその重厚な扉の前に立った。ジジッ……。肌がピリピリと痛む。空間の電位差が極...
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第18話 地下の幽霊騒動

深夜。学院の北端、立ち入り禁止区域となっている旧地下倉庫への道。カンテラの明かりだけを頼りに、私たちは草むらを歩いていた。「……なぁレイ、やっぱ帰ろうぜ?俺、霊感とかはないけど、商人の勘が『ここはヤバい』って叫んでるんだよ」リックが私の背中...
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第17話 超伝導体を探せ

ラボの机の上には、完成したばかりの「シリコンウェハー(CPU)」が鎮座している。だが、これはあくまで「脳」だ。この世界から地球へ、重力波という名の「声」を届けるためには、光速に近い速度で粒子を打ち出す「巨大な肉体(加速器)」が必要になる。「...
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第16話 極端紫外線の儀式(と、レイ様親衛隊)

「……汚い。あまりにも汚い」翌朝。ラボの扉を開けた私は、絶望的な声を上げた。昨日のアリスのランダムウォーク、もとい暴走により、床には埃が舞い、空気中には無数の微粒子が浮遊している。人間には綺麗な部屋に見えるかもしれない。だが、ナノメートルを...
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第15話 観測者のジレンマ

実験室の空気が、甘い香りで満たされている。アリスが休憩用のお茶と、手作りのクッキーを運んできたからだ。「レイ様、少し休みませんか?リソグラフィの設計図、もう三日も睨めっこしたままですよ」アリスが心配そうに覗き込んでくる。私は顔を上げ、強張っ...
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第14話 トンネル効果の壁

ラボの机には、薄くスライスされ、鏡のように磨き上げられたシリコンの円盤──「ウェハー」が並んでいた。私はその一枚をピンセットでつまみ、光にかざしてチェックする。「……表面粗さ、ナノレベルで合格。次は『熱酸化』だ。ウェハーの表面に薄いガラスの...
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第13話 シリコンバレーの夜明け

魔導IHコンロの発売から一ヶ月。リックの実家であるファイン商会は、嬉しい悲鳴を上げていた。「笑いが止まらねぇ!王都だけじゃない、隣国の貴族からも注文が殺到してるぞ!見ろよこの売上!プランク貨の山で溺れそうだ!」ラボの机の上に、文字通り「山」...
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第12話 魔導具革命とエネルギーの壁

一週間後。王都の中央広場は、かつてない熱気に包まれていた。主役は、我らがチームの営業担当、リック・ファインだ。「さあ見てくれ、奥さん!この『魔導IHコンロ』なら、真夏の厨房で汗だくになる必要はねぇ!火を使わねぇから子供がいても安心、煙も出ね...
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第11話 変人たちの研究室

「嘆きの壁」を粉砕し、筆頭教官ガストを熱力学で論破した戦利品。それが、学院の北端に位置する「第4廃校舎」だった。かつては錬金術師が籠もっていたらしいが、長年放置され、今は蜘蛛の巣と埃、そして何に使われたか不明な劇薬の瓶が転がる、文字通りの「...