あとりえむ

異世界転生した天才物理学者は、魔法を「量子もつれ」と定義する ~事象の地平線を越えて、地球に重力波(論文)を送りつけるまで~

第23話 魔導物理学・基礎課程

私は先駆者(アイザワ)の遺したログを一通り記録した後、再び第二の扉のパネルに手をかざした。『──管理者権限確認。セキュリティ・レベル5施設を「完全封鎖」します』無機質な自動音声と共に、重厚な金属扉が音もなくスライドし、冷気と静寂を内側に閉じ...
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第22話 先駆者のログ

「……なあレイ。さっきから壁のシミを見て何をブツブツ言ってるんだ?」リックが、保温結界の中で震えながら尋ねてきた。私は、加速器の制御室とおぼしき壁面に刻まれた、黒い煤のような文字を指でなぞっていた。「シミじゃない。これは文字だ」「文字?古代...
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第21話 地下のオーパーツ

「……さっむぅぅぅ!!」開かれた第二の扉の向こうから吹き付けたのは、剃刀のような冷気だった。数百年間、密閉され、冷却され続けていた空気の塊。それが、パンツ一丁のリックを直撃した。「おい!死ぬ!今度こそ死ぬぞ!雷の次は氷漬けかよ!」リックが自...
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第20話 生体認証

「……さて、ここからが本番だ」私は通路の突き当たりに鎮座する、巨大な「第二の扉」を見上げた。先ほどの石造りの扉とは違う。継ぎ目のない黒い金属板──おそらくチタン合金か、それに類する未知の素材で作られている。表面には魔法陣すら刻まれていない。...
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第19話 禁書庫への侵入

パンツ一丁のリックを先頭に、私たちは地下倉庫の奥へと進んだ。青白い火花は、鉄扉の隙間から断続的に漏れ出している。私たちは金属類を全てその場に捨て、文字通り「身一つ」でその重厚な扉の前に立った。ジジッ……。肌がピリピリと痛む。空間の電位差が極...
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第18話 地下の幽霊騒動

深夜。学院の北端、立ち入り禁止区域となっている旧地下倉庫への道。カンテラの明かりだけを頼りに、私たちは草むらを歩いていた。「……なぁレイ、やっぱ帰ろうぜ?俺、霊感とかはないけど、商人の勘が『ここはヤバい』って叫んでるんだよ」リックが私の背中...
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第17話 超伝導体を探せ

ラボの机の上には、完成したばかりの「シリコンウェハー(CPU)」が鎮座している。だが、これはあくまで「脳」だ。この世界から地球へ、重力波という名の「声」を届けるためには、光速に近い速度で粒子を打ち出す「巨大な肉体(加速器)」が必要になる。「...
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第16話 極端紫外線の儀式(と、レイ様親衛隊)

「……汚い。あまりにも汚い」翌朝。ラボの扉を開けた私は、絶望的な声を上げた。昨日のアリスのランダムウォーク、もとい暴走により、床には埃が舞い、空気中には無数の微粒子が浮遊している。人間には綺麗な部屋に見えるかもしれない。だが、ナノメートルを...
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第15話 観測者のジレンマ

実験室の空気が、甘い香りで満たされている。アリスが休憩用のお茶と、手作りのクッキーを運んできたからだ。「レイ様、少し休みませんか?リソグラフィの設計図、もう三日も睨めっこしたままですよ」アリスが心配そうに覗き込んでくる。私は顔を上げ、強張っ...
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第14話 トンネル効果の壁

ラボの机には、薄くスライスされ、鏡のように磨き上げられたシリコンの円盤──「ウェハー」が並んでいた。私はその一枚をピンセットでつまみ、光にかざしてチェックする。「……表面粗さ、ナノレベルで合格。次は『熱酸化』だ。ウェハーの表面に薄いガラスの...